「部下のモチベーションが上がらない」こんな悩みをお持ちの方は多いのではないでしょうか?
ところで、あなたは部下のモチベーションを上げるために、どんな事をしていますか?
目標管理制度を導入している会社も多いと思います。
目標を設定して、目標を達成できれば、追加の報酬や昇格などの形でほうびを与える。
果たしてこれだけで、社員のモチベーションは上がるのでしょうか?
私は、マネージメントとは
「部下の能力を引き出し、モチベーションを高めて最大限の成果を上げてもらうこと」
だと考えています。
つまり部下のモチベーションを上げるのはマネージャーの重要な役割です。
今回は、部下のモチベーションを上げるのに不可欠な3つのことについて解説します。
モチベーションとは
モチベーションには、「動機付け」と「意欲・やる気」という2つの意味合いがあります。
「モチベーションを高める」という使い方をした場合は、後者の意味です。
モチベーション
1 .動機を与えること。動機づけ。
2 .物事を行うにあたっての、意欲・やる気。または、動因・刺激。
「モチベーションが上がらない」「高いモチベーションを維持する」引用元:コトバンク
なぜモチベーションを高める必要があるのか?
なぜモチベーションを高める必要があるのか?というと、
モチベーションの高さは、社員や組織のパフォーマンスを大きく左右するからです。
私は、個人の仕事の成果は
成果 = 能力 × やる気
という関係式で表されると考えています。
ここで言う、「やる気」とは、「モチベーション」とほぼ同じ意味です。
つまり、同じ能力を持っていても、やる気に2倍の差があれば、成果にも2倍の差が出ます。
極端な場合、いくら能力があっても、やる気が「0」であれば、ほとんど成果は得られません。
本来は、社員が自分自身でモチベーションを高めるのが理想です。
しかし、みんながみんな自分のモチベーションを高められるわけではありません。
むしろ、それができない人のほうが大多数と言っていいでしょう。
組織全体のモチベーションが低いと、モチベーションが高い社員は、最悪、会社に見切りをつけて去ってしまいます。
したがって、 組織のリーダーは、 組織の成果を高めるために、組織全体ののモチベーションを高める努力をする必要があります。
なぜ目標管理ではモチベーションが上がらないのか
目標管理は簡単にいうと、
目標を設定して、目標を達成したら ボーナスの査定や、昇給・昇格でほうびを与える
ということですが、
このやり方の最大の問題点は、目標を設定する前の大事なステップが欠けているということです。
例えば、「売上目標、対前年比120%」という目標を設定したとします。
何もないところから、いきなりこのような目標が出てくると、なぜ120%なのかという必然性がよくわかりません。
必然性がわからない目標値を設定すると、「やらされている感」が強くなり、モチベーションは上がりません 。
またその目標を達成した先に何があるのかが見えないため、「先行き不透明感」が強くなってしまいます。
もう一つの問題点は、目標を達成した場合のインセンティブ(ほうび)が、必ずしもここの社員が望んでいるものと一致していないということです。
目標管理自体を否定するつもりはありませんが、
目標を達成したらアメを与え、目標が達成できなかったらムチで叩く
という考えだけですべてを済まそうとすると、モチベーションは上がらず、高い成果も得られません。
モチベーションを高めるのに不可欠な3つのこと
部下のモチベーションを高めるのに不可欠なのは次の3つです
- ビジョンを共有する
- 部下とコミュニケーションを取る
- 部下の成果を公正に評価する
ビジョンを共有する
ビジョンとは、分かりやすく言うと、「将来のあるべき姿」です。
あなたの会社、組織には、ビジョンがありますか?
会社や組織の発展や成功のために、「ビジョン」は不可欠です。
「ビジョンなくして、会社や組織の発展や成功はない」
と言っても過言ではありません。
ビジョンがないと、一体何を目指して進めばいいのか、どちらに向かって進めばいいのかが分かりません。
ビジョンがないまま目標を設定すると、何のための目標なのか、その目標を達成した先に何があるのかが全く分からないため、納得性がないのです。
何よりも先に、まずはビジョンを決めなければなりません。
そしてビジョンを決めなければいけないのは、会社や組織に対してだけではありません。
社員一人一人が、 それぞれ、自分自身のビジョンを持つ必要があります。
まずは、組織のビジョンを決めるとともに、社員には自分自身のビジョンを考えてもらいます。
それぞれのビジョンが決まったら、お互いのビジョンを共有し、ビジョンの共通点、一致点を見い出します。
仕事を通じて、どうやったら部下のビジョンを実現できるかを考えましょう。
理想的には、仕事を通じて部下の自己実現を目指すことです。
自己実現はマズローの欲求五段階説でも、最も高次の欲求に位置付けられています。
お互いのビジョンの、共通点、一致点を見い出せれば、 組織のビジョンを達成することによって、社員が自分のビジョンを達成するすることができるので、
そこには自然と社員の主体的な目的意識が生まれるはずです。
残念ながら、お互いのビジョンに全く共通点や一致点が見いだせないとしたら、
ビジョンの設定が間違っているか、その仕事には向いていないかもしれません。
部下とコミュニケーションを取る
部下とのコミュニケーションは3つの段階で取ります。
コミュニケーションの第1段階は、「計画」です。
部下と話し合い、先ほど説明したビジョンの共有と、目標設定を行います。
ビジョンは5年後、10年後、あるいは20年後のあるべき姿ですので 、
ビジョンの共有がしっかりとできていれば、ビジョンに向かってまずは何をしなければいけないかが見えてくるはずです。
そこで、部下に、目標を考えてもらいます。
部下が自分自身で考えることが重要です。
先ほども説明したように、押し付けられた目標値は「やらされ感」を生み、モチベーションは高まりません。
もちろん、組織として達成しなければいけない目標があると思いますので、ある程度の誘導は必要かもしれません。
ビジョンの共有ができていれば、共通の目的を達成するたに、お互いが納得する目標を設定出来るはずです。
コミュニケーションの第2段階は「実行」です。
目標が計画通りに実行できているかどうか適宜確認し、 励まし、助言をし、サポートします。
部下の仕事量が許容値を超えていないか、部下の健康状態に問題はないか、日々のコミュニケーションを通して確認します。
部下が仕事をしやすい環境を整えることも必要です。
コミュニケーションの第3段階は「評価」です。
これについては次の項目で詳しく説明します。
部下の成果を公正に評価する
- 計画どおり仕事を進められたか
- 取り組み方は適切だったか
- 目標通りの成果が得られたか
について部下と話し合い、成果を公正に評価します。
日本の企業は従来、成果よりも過程を重視する傾向があり、
「目標は達成できなかったけれども、できるだけのことはやったからしょうがないよね。」
という結論になることもありますが、
あくまでも、成果に重点を置き、結果にこだわるべきです。
取り組み方(過程)については、残業して長時間働いた人を「努力をした」と高く評価する傾向がありますが、
むしろ残業をせず、短時間で成果に辿り着いた人を高く評価するべきです。
極論を言うと、結果さえでれば、頑張る必要はないのです。
目標通りの成果が達成できた場合は、インセンティブを与えるだけでは不十分です。
目標を達成したことをほめ、 組織のビジョン達成に貢献したことに感謝の意を表してください。
部下をほめ、部下が価値ある存在だと認めることで、マズローの5段階欲求説における、承認の欲求 が満たされます。
組織が大きくなるほど業務が細分化されるため、個人の成果が顧客や自社に対してどのように貢献しているかが分かりにくくなります。
それぞれの社員がどのような形で貢献しているのかを、分かりやすく説明しましょう。
日本人はほめることが苦手ですが、
部下の評価において、ほめるべきことはほめ、叱るべきことは叱るということも大切です。
逆に叱るときは、個別に叱るのが望ましいです。
表彰される人には、金一封と記念の盾を贈っています。「盾なんかもらって嬉しいか?」と思われるかもしれませんが、盾を贈る最大の目的は、社員が表彰されたということを、家族に伝えることです。
普段、仕事のことを家族に話す機会はあまりないかもしれませんが、盾を家に持って帰れば、あなたが仕事を頑張って会社で高く評価されたということが、言葉にせずとも伝わります。
家族にも仕事の成果を認めてもらうことで、仕事に対する「誇り」や「やりがい」につながると考えるからです。
インセンティブについて
インセンティブとは
英語で奨励や刺激、報奨を意味し、
雇用者に刺激を与え、やる気を起こさせることをいいます。事業者が就労者のモチベーションを上げさせ、その成果報酬として、通常の給与の他に報酬を与えるケースが一般的です。
引用元:コトバンク
「部下とコミュニケーションをとる」の目標設定の説明の中で、インセンティブについて触れませんでしたが、
どのようなインセンティブを設定するかも重要なポイントです。
一般的には、ボーナスの加給、昇給、昇進などが暗黙の了解でインセンティブとなっていることが多いと思いますが、部下が必ずしもこれらのものを望んでいるとは 限りません。
給料をたくさんもらうのを拒む社員はまずいないと思いますが、昇格を望まないという社員は増えています。
部下が望まないものを与えるのは逆効果ですので、どのようなインセンティブを設定するかについても、目標を設定する際に話し合いましょう。
追加報酬や昇進以外のインセンティブの例としては
- もっとやりがいのある高度な仕事がしたい
- 自分はもっと他にやりたい仕事があるので異動したい
- もっと裁量を与えてほしい
- 目標を達成したら、もっと人員や予算を増やしてほしい
- 目標を達成したらまとまった休暇がほしい
というようなことが考えられます。
必ずしもすべての希望に応えられるとは限りませんが、
部下のニーズにマッチしたインセンティブを設定することで、よりモチベーションを上げることができると考えます。
まとめ
部下のモチベーションを上げるのに不可欠な3つのことについて解説してきましたが、いかがだったでしょうか。
ここに挙げた3つは、いずれが欠けてもモチベーションを上げることはできないと思います。
なお、本文の中には書きませんでしたが、組織のモチベーションを上げるためには、組織のリーダーがまず自分自身のモチベーションを上げる必要があります。
モチベーションの低い上司が、部下のモチベーションを上げようとしても無理ですよね。
- 組織のビジョンと部下の個人のビジョンを共有する
- 部下とコミュニケーションを取る
- 部下の成果を公正に評価する
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